本文
新聞紙の包(大正15年発表)
(一)
それは平穏な夏の夜の航海であった。
八千トンのS丸は午後四時横浜を出帆して、いま神戸に向かう途中である。欧州行きの汽船ではあるが、乗客の過半は、汽船というものに乗ったことのない人が、航海とはどんな気持ちがするものかを経験するため、納涼を兼ねて神戸まで旅をするだけであった。それでも横浜の埠頭を離れるときは、それ等の人々も、何となく一種の悲哀を催し、汽船が沖へ出てからも、じっと甲板の上に立って、夕靄に隠れて行く遠山を懐かしんだものである。中には夫婦連れで睦まじく一夜の旅をする西洋人もあった。中にはまた、まったく野次馬式に、用もないのにW.Cの水を流したり、あるいは機関室を訪ねたりして、船の中を隅から隅へ駈け廻って歩く学生もあった。
先刻夕食が済んで、まったくの暗闇に包まれた汽船は、地鳴りのようなエンジンの音を立てて、快く波を切って進んだ。湿気を含んだ風は、なまぬるく頬をかすめた。風に一種の匂いがあるのは、恐らく海の匂いではなく、船そのものの匂いであろう。その匂いが、また、旅らしい気持ちをそそった。一時間およそ十三ノットの速力を出しながら、船は少しも動揺せず、まるで畳の上を這って行くようであった。
甲板は一等船客をもって埋まっていた。ある者は檻に入れられた北極熊のように、ただ訳もなく強い歩調であちらこちらを散歩した。あるものはデッキ・チェアに腰をかけ、消化官を十分働かせるために、放心したように海の彼方を眺めていた。またあるものは、手すりに身を寄せて、何も見えぬ海の表面を物珍しそうに眺め入った。あるものは下の甲板へ行ったり、船長室に通ずる梯子段を上ったりして、いたずらに勤勉振りを発揮した。
薄暗い電燈に照らされた甲板上の人々の顔は、日本人も西洋人も、あまり見よいものではなかった。一般に上から照らす弱い光線で、夜間人間の顔を見るときは、一種の恐怖を覚えるほど、変に見えるものであって、人々が楽しそうに笑う顔さえ、ちょうど罪人が裁判官の前でもらす苦笑に似た感じを与えた。
すべての人が悲哀に見える顔をしている中では、本当に悲哀を持っていても少しも目立ちはしない。また、多くの人が甲板の上をあちらこちらしているうちでは、焦燥のため、じっとしておれなくて足踏みしていても少しも気づかれるものではない。現に今、一人の青年が、悲哀と恐怖と焦燥とを抱いて、先刻から、あちらこちら歩いているのであるのを、誰一人その青年を怪しむものはなかった。
青年は名を時國英三郎といって、丸の内のM商事会社に勤務している年若い法学士である。彼が今日、神戸まで行くべくこの汽船に乗りこんだのは、納涼のためでもなければ、また会社の用事のためでもなく、まったく特殊な目的を遂行するためであった。しかしそれは彼にとって極めて重大な意義を持っていた。世間しらずの彼は、恐らくこの船が建設されて以来、自分のような目的をもって乗り込んだものは一人もなかっただろうと思った。その目的というのは、ある犯罪に関係したものであった。こう言うと読者は、時國君が、何か探偵めいた仕事をしているのではないかと想像されるかも知れぬが、決してそうではなく、時国君自身がある犯罪を犯そうとしているのである。と言ってもスリを働くとかまたは人殺しを行うというのではなく、彼はただ自分の行ったある犯罪の後始末をこの船でつけようとしているに過ぎないのである。
ある犯罪! と言っても彼は単に共犯者たるにとどまるけれども、その犯罪は言わば彼のために起こったと言ってよいものであった。だから、彼がいま、その跡始末をするのはまさに当然のことであるかも知れない。そしてその跡始末たるやすこぶる簡単なことである。それは、今彼が夏服の上衣の右のポケットに入れている拳大の新聞紙包みを海中に投げさえすればよいのである。ポンと一思いに投げさえすれば、それでたちまち解決がつくのである。けれど、時國君は、その簡単な行為を遂げることが、予期に反して、極めて困難なことを知った。船へ乗り込む前には、船がまだ埠頭を離れぬ先に投げ入れることが出来ると思った。実際来て見れば乗客は、果物の皮や、弁当の折を平気で投げた。中には新聞紙の包みを投げるものさえあった。で、自分も、あのように何気なく投げればそれでよい。と思いながらも彼は船が動き出すまで投げることが出来なかった。万が一にも誰かがその新聞紙を拾って中をあけて見たら・・・・・・。
警官---検事局---法廷---宣告。こう考えて時國君はぞっとしたのである。そして、船が動き出してからでも、日のあるうちに捨てることは極めて危険であると思って、夜となるのを待ち兼ねた。彼は食堂のテーブルに着いても少しも食欲がなかった。皆が楽しそうにはしゃいで食べる姿を見て一種の反抗心さえ起こった。海が穏やかであったからよかったものの、もし、さもないならば、あるいは嘔吐を催したかも知れなかった。
早々に食事を済まして甲板へ出て見ると、意外にもそこにはたくさんの人が往来し、間もなく人で埋まってしまった。こんなに人目の多い中で、どうして包みを海に捨てることが出来よう。こう考えて彼は腹だたしい気持ちになり、無暗に甲板の上を歩き廻った。
「何でもないことだ。船は一時間十三ノットの速力で走っているではないか。さっと投げてやれば、包みはたちまち船尾の渦巻の中に吸い込まれるではないか」
彼の心は彼の耳元にこうささやくのであった。しかし、どうしたわけか、彼の右手が心の命令に従わなかった。そして、誰かが、自分を、どこかの隅で監視していて、右手を振り上げた拍子に、「あッ、ちょっと」と言って、ぐいとつかみそうに思われた。
検事局---法廷---宣告。こう考えると、背中を冷たいものが流れ落ちて行くような感じがした。些細な包みであるとはいえ、それは自分と彼女との罪をあからさまに示す動かぬ証拠ではないか。
おお彼女! 自分にこの新聞紙の包みを海中に拾てるべく依頼した彼女は、今頃はもう自分がこの包みを無事に海中に投げ入れたと思っているだろう。と、思うと、時國君はじっとしてはいられぬような気がした。そして、チョッキのポケットから時計を出して見ると、十時、少し過ぎであった。
「自分はこれで二時間も迷っているのだ!」こう呟いて、上衣の右ポケットに手を入れると問題の包みが、がさがさという音を立てたので、時國君は、何か恐ろしいものにでも触れた時のようにつと手を引いた。
彼はそれからじっと手すりによりかかったまま、海の方を眺めた。人々が急に笑いはしゃぐ音が耳元で聞こえたけれども、振り向いて見る勇気がなかった。正面の空には水平線に近く蠍座の星が力ない光を放って明滅していた。そして煙のような銀河を仰いだとき、過去の記憶がまじまじと浮かんだ。
茨城県の素封家の長男に生まれ、何不自由なく育ってT大学を卒業するまでの、懐かしいような、また腹立たしいような記憶の数々が、走馬燈を見るように目の前に展開した。中にも彼女との恋のシーンは幾度となく繰り返して現れた。彼女との恋! その恋ゆえに自分が今、言うに言われぬ苦しい思いをしているかと思うと、あの、まじり気のない恋が呪わしくも思われた。
彼女は自分が世話になった素人下宿の娘であった。友人たちの中には、自分と彼女との恋を知って、彼女について面白くない評判のあることを告げてくれるものもあったが、そんなことに耳を傾ける余裕のないほど彼女と自分との恋は真剣であった。二人の関係は、卒業後、自分が女中と共に一家を持つようになってからも続いた。
「先方は君の財産を当てにしているのだよ。気をつけたまえ」
こう言って忠告してくれる友人もあったが、どうして彼女に、そのような不純の心を認めることが出来よう。もし真にそうであるならば、彼女が二人の仲を母に隠しているはずがなく、また、こんどのような好機があれば、この上もない善い口実となるのではないか、それを彼女は、自分に迷惑をかけまいと思って、二人の愛の記念を除こうとしたのである。最初その決心を彼女から聞かされたとき、自分は一種の戦慄を感じた。今まで世間というものを知らなかった自分は、この現実の問題に出会って、どうしてよいかに迷った。彼女は××に広告されている薬を取り寄せて服用すれば、たしかに効を奏するから、ただあなたが後始末さえして下さればよいと言った。そして今、自分はこうして後始末をすべくこの汽船に乗り込んだのである。
彼女は賢かった。後始末をするのは海に限るといった。いかにも彼女の言葉は道理を含んでいた。が、が、いざ実行をするとなると、彼女といえども想像し得ないほどの困難に出逢わねばならなかった。すでに東京駅を出立する時から、あたかも殺人者が、被害者の死体を処置する時に起こすような感じがした。誰か自分の後をつけているように思われた。そして今でも、誰かが自分を監視しているような気がしてならない。もしこの新聞紙に包まれたものが、食物の屑か何かであるならば、現に今、何の躊躇もなく、衆人の目の前で投げることが出来るであろう。それなのに・・・・・・。
罪を犯す者の心がこれほど苦しいものとは、いまだかつて知らなかった。この苦しい心に同情しないで犯罪者を裁判するのは間違いだ。一度罪を犯したものでなくては裁判官をしてはならない。・・・・・・ここまで考えて、時國君は長い間の幻想から覚め、何かこう、恐ろしいものでも見るかのように、静かに首をめぐらせて、自分の後ろにはどんな人達がいるかを見ようとした。
と、その時、時國君の背後には、いつの間に来たのか、彼と同じ年輩ぐらいの、美術家のように頭の髪を長くして、鉄縁の眼鏡をかけた男が立っていた。
「どうです、静かな航海ではありませんか」と男はにこりと笑って言った。時國君は何となくぎくりとして、ただ軽くうなずくだけであった。
「欧州へでもお出かけですか?」と、男は尋ねた。
「いえ、神戸まで・・・・・・」
「僕も神戸へ行くのですが、こんなに平穏無事では、少し物足りませんな」と、言いながら時國君と並んで、手すりに身を寄せた。
時國君は威圧を感じた。自分の行わねばならぬ仕事を思って妙にいらいらして来た。
「暴風雨にでも逢うと面白いですがな」と男は続けた。時國君は思わず男の顔を見つめた。
「いや、こう言うと変に思いになるかも知れませんが、僕は平凡な世の中にあきあきしました。だから、汽船に乗って、せめて暴風雨にでも逢うチャンスを得たいと思うんですよ。しかし、汽船というものは、暴風雨に逢わなくても愉快なものです。何かこう一種の神秘を包んでいるようで、今にも誰か発狂して海へ飛び込むか、または血みどろな犯罪を行いそうですからな」
時國君は胸がどきんとした。胸がぶるぶる震えるような気がした。
「ははは、僕のような人間はまあ少ないでしょうな。しかし、御心配くださるな。僕は決して海へ飛び込みもしなければ、また犯罪を行いもしませんから。僕は探偵小説家なんです」
こう言って男は去った。しかし時國君は笑うに笑えないほど心が重かった。ああいう人間がいては、いよいよ決行する機会がないように思え出した。そして無闇に悲しくなって来た。
時は遠慮なく過ぎて行った。時計を出して見ると十二時少し前であった。だんだん甲板の上の客は減って行ったが、まだ当分は賑いがやみそうになかった。時國君は、もう少し後になって決行しようと思い、疲れた脚を引きずるようにして、自分の船室に帰った。船室は一人用であったから、彼は誰にはばかる必要もなく、いきなりベッドの上にごろりと横になるのであった。
横になってしばらく低い天井を見つめているうちに、いつの間にか眠りに落ちた。ハッと思って目が覚め、むくりと起き上って時計を見ると、午前二時半少し過ぎであった。右のポケットに手を入れて見ると、呪わしき新聞紙の包みは依然としてそこにあった。彼は誰かに追い出されるように、船室を出て甲板に来て見ると、甲板にはさすがに人1人いなかった。
しかし、それと同時に、彼はまた激しい恐怖に襲われた。この真夜中に、たった一人甲板へ出て新聞紙の包みを海へ投げれば、それこそ怪しく思われるではないか? なぜ、自分は人々がまだ甲板にいる間に投げこまなかったか?
しかし、愚図愚図しておれば朝になってしまう。朝になれば機会は永久に失われる。こう思うと、頭が急に熱して、前後の分別がつかなくなってしまった。そして彼は本能的に包みをつかみ出し、パッと海面に向かって投げた。その途端に新聞紙は風のために広がってひらひらと水平に飛んだ。と、どこかで、「あはは」と笑うような声がしたので、急に怖ろしくなって、くるりと後ろを向くなり、ひた走りに走って船室に帰り、あたかも失神したかのように、ベッドの上にぐったりと身を横たえるのであった。
(二)
と、こう語って来た時國君は、ここでしばらく言葉を切って、私立探偵松島龍造氏の顔を見上げ、急に悲しそうな表情をして更に続けた。
「ところが、海面に落ちたと思った包みは、風のために、下の甲板の上に落ち、ちょうどそこにいた船員らしい二人の男に拾われたのです。そして私が東京へ帰った翌々日、すなわち今朝、それを証拠にその二人が金を強請りに来ました」
松島氏は相手の語るのを熱心に聞いていたが、やがて静かに口を開いた。
「で、金をいくらくれと言いましたか?」
「あまりの恐ろしさに、明日もう一度来てくれと言って帰し、早速あなたに御相談に上ったわけです」
「それは大へん賢明なやり方でした。で、あなたは、その新聞紙の包みを一度でも開いてご覧になりましたか?」
「どうしてどうして、私は恐ろしいような気がして、開く気になれませんでした」
「東京へお帰りになるなり、すぐ、先方の娘さんに御通知になったでしょうね?」
「はあ」
「その二人はたしかに船員だと言いましたか」
「いいえ、ただ私がそう察しただけです」
「無論、娘さんとは何の関係もない人たちでしょうね?」
「ありませんとも、私たち二人の秘密は、あなたの外に誰も知るはずがありません」
「二人の名前を御聞きになりませんでしたか」
「聞いても言いませんでした。黙ってこの品を買ってくれればよいと言いました」
「その品を御覧になりましたか」
「いいえ、しかし、風呂敷包みの中にはたしかに広口のガラス壜が入っていた様子です」
松島氏の顔は、この言葉をきくと急に輝いた。
「よろしい。それでは明日の朝、その二人の来ない先に御宅へ伺いましょう。あなたはまだ先方の娘さんに、この話をしてませんでしょうね?」
「無論まだ話しません」
「娘さんの御所を聞かせて下さい」
時國君は躊躇した。「こんなことが知れたら、きっと心配するから・・・・・・」
「大丈夫です。私は娘さんには逢いませんから」
翌日、松島氏は早朝、一個の風呂敷包みをさげて、時國君の家を訪ねた。午前九時を打つと間もなく二人の男がやって来た。彼等は読者が想像されるような、強請者にふさわしい顔付きと服装をしていた。時國君は二人を客間に案内した。
「いくらで買って頂けるでしょうか」
程なく、一人が切り出した。
「さあ、いくらで買ってよいか、私にはわかりませんから、売値をおっしゃって下さい」と、時國君は落ちついて答えた。
「それでは率直に申します。二千圓(※現在の価値で約百六十万円)頂きたいです」と今一人の男が言った。
「二千圓、ずいぶん高いですね。でも品物によっては買います。まずその品を見せていただきましょう」
第一の男は包みを解いた。取り出したのは、アルコール漬けの胎児を入れたガラス壜であった。
この時突然襖が開いて、松島氏が風呂敷包みを持って入って来た。包みを解いた男は、びっくりして、包みを隠そうとした。
「それには及びませんよ」と松島氏は手で制して言った。「私は時國の親戚のものです。二千圓という大金を出すについては、念をいれて品物をあらためねばなりませんから、私も一緒に立ち会わせてもらったのです」
こう言って、松島氏は、その場に座りながら、手を伸ばして、壜を取りあげた。
「なるほど、アルコール漬けですね。見事なものです。しかし、二千圓は少し高いと思います」
「けれども時國さんに取っては高くないはずです。言わばご自分の罪を買うのですから」と、第二の男が言った。
「するとこれが、何か犯罪の証拠となるとでもおっしゃるのですか」と、松島氏は空とぼけて言った。
「立派な証拠じゃありませんか」
「私にはそう思えませんが。時國君、君はこの壜を船から投げたのかい?」
「いいえ」
「ふむ。して見ると、御二人が、腐敗を恐れてアルコールへ御入れになったのですね。しかし御二人はアルコールへ入れることが、返って証拠隠滅になることをお気づきにならないようですねえ、法律上の証拠というものは、警察の手に入るまでは、手を触れてはならんのです。アルコール漬けでは何の証拠にもなりませんよ。こんなのなら私も一つ持っております」
こう言って松島氏は、自分の持って来た風呂敷を解いて、同じようなガラス壜を取り出した。その中には同じく胎児がアルコール漬けになっていた。
「どうです、これもやっぱり証拠になりましょうか。何なら、二千圓で御譲りしましょうか」
二人の男は顔を見合わせた。第一の男は、怒気のために顔を赤らめて言った。
「だって、こちらには、これ以外に、もっと有力な証拠がありますよ」
「へえ、それはどんな証拠ですか」
「時國さんは、素人下宿の娘をそそのかして・・・・・・」
「あはははは」と突然松島氏は大声で笑って、男の言葉を遮った。「とうとう白状しましたね。そのことを白状してもらうために、私がこの壜を持ち出したことに気がつきませんでしたか。御二人が、 下宿の娘さんと連絡があるとわかれば、びた一文だって出せませんよ。二千圓でも三千圓でもいいから、どこへなりと、売れる所へ行って売っておいでなさい」
二人の男はほうほうの体で帰って行きましたよ」と、松島氏は例の如く氏の探偵談を聞きに行った私に向って語った。「どうです、うまく仕組んだものじゃありませんか。私は時國さんの話を聞いて、どうもその娘が怪しいと思いました。真実男のためを思うならば、何もあのような大仕掛けな後始末をさせるには及びません。で、私は早速娘の家の附近へ行って、娘の素行を聞いて見ますと、どうしてなかなか、母も娘もしたたか者でした。そういう連中のことですから、子が出来たなら、それを種に金を強請った方がどんなに得策か知れません。で、娘が妊娠したことも、堕胎したこともみんな偽りだと思いました。どういう手段で彼等が胎児のアルコール漬けを手に入れたかはわかりませんが、世間知らずの男を脅迫するには、誠に屈竟な品物です。時國さんも、詐欺だと分かって始めて目が覚めたようでした。え? 私が持って行ったアルコールの壜ですか、あれは大学の産婦人科教室に立ち寄って、事情を話して一時貸してもらったものです。それにしても胎児を二千圓で売るとは奇抜な商売もあったものです。私なんか、大きな身体をしていても、とても二千圓では買ってくれ手がありますまいよ、ははははは」